若松孝二監督の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を観たDVDで!
出演者たちは、鬼気迫る迫真の演技で「あの時代の若者」を見事に表現しています。永田洋子役の並木愛枝、遠山美枝子役の坂井真紀、坂口弘役のARATAら、出演者の多くは自ら現場に飛び込んだ、といわれています。この映画では、革命の理想が流血の惨事へと転じていく過程が、3時間10分のなかに丹念に描き出されていきます。「実録」と称していることでも分かる通り、事実をしっかり押さえて、歴史を検証していく眼差しには、頭が下がります。
なぜ「総括」や「自己批判」をするのか。連合赤軍にはおおらかさがなく、幹部には絶対服従で逆らえば死が待っている恐怖政治。やはり軍事組織を標榜し、それに賛同し革命兵士と皆が思い込んでいたので狭い小さな組織のなかで、勝手に「煮詰まったんでしょうか?」
テロ行為が国家権力に向かわず、自分たちの仲間に向けられる。些細な言葉尻を捕らえ総括する。なぜこんな矮小極まりない組織原理が成り立ったのか?
連合赤軍を笑い飛ばすことはできない。それは左翼組織、レーニン主義を標榜する左翼組織すべての病理であり、欠点であり組織的欠陥ではないかと思いますね。
60年安保当時の初期のブントの「おおらかさ」「いい加減さ」はありません。ヌーベル・バーグといわれた先進性とカッコよさがありました。当時姫岡玲治(青木昌彦氏)なんかは今でも凄いとミーハー的に憧れますね。
参考ブログ記事 60年ブントは格好良すぎますね
少なくとも60年ブントは当時の「左翼的欠陥」を「突き抜けて」いたのに連合赤軍は組織的欠陥を一身に背負い自己崩壊し、同時にすべての日本の左翼運動まで道連れにして崩壊しました。社会運動の「ブラックホール」のような存在が連合赤軍事件でした。
現在日本の若者たちが「政治に興味がない。」という大きな原因の1つは「連合赤軍事件」の負の遺産であると思います。
それこそ今こそきちんと「連合赤軍事件の思想的総括」が必要です。そして人間の解放を標榜する組織なり、運動体が人間を抑圧し、排除する組織にならないような抑止が絶対に必要です。
旧ソ連邦や東欧の共産党独裁体制や中国や北朝鮮の共産党は国家レベルの人民の抑圧装置でした。反論を許さない独裁組織の危険性は、追い詰められた20人足らずの組織で象徴的に現れました。
それは新左翼も日本共産党旧社会も皆同じです。
いまこそその組織論の間違い。思想的な総括をすべきです。そして社会運動を再構築しないといけません。映画を見てつくづくそう思いました。
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