2007年7月22日 (日)

東洋町を元気にする方策は? 

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
 現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「東洋町を元気にする方策は?」でお話をお聞きします。

 東洋町は高知市から車で約3時間かかります。白浜海岸や生見ビーチは有名でもひんぱんに行く人は高知市内の人でもあまりいないのではないでしょうか?
 松田さんはもしかしたら都市部の人が高知県をイメージしていることもそうではないかと言われていますが。

Matuda1m_3 松田  東洋町は高知県の東の端の町で、ちょうど私の出身地である大月町も西の端で、置かれている状況が似ています。地理的に遠いということで、行ったこともない人が多く、情報も地域が積極的に発信しなければ、町の存在すら知らない人も多くなると思います。

以前、高知県の観光の活性化で、大阪の人にグループでインタビューしましたが、高知県の印象で一番ショックだったのは「何もなさそう」とか「おいしいものがなさそう」とか平然と言われたことです。

 その人いわく、日常、いろんな媒体で地方の情報が入ってくるが、高知県の情報はほとんど入ってこないので、イメージすらできない。この状況が高知県内の中でも起きているということを最近あらためて意識しています。

西村 松田さんは「これまで陸の孤島と言われ、多くの人から見捨てられていた東洋町のまちづくりを考えることは、未来の高知県の進むべきモデルとなると思います。」と言われています。東洋町以外にも高知では同様の地域が多いと思われますがいかがでしょうか?

Kannoura3_1

松田  地理的条件が不利な所は、どんな地域で、現状ではなにがあって、それをどう活用し、個性のあるまちづくりができるのか。私はこれまで経済発展が遅れた地域にこそ、人が生きていく上で必要な自然や人間関係、文化が色濃く残っていると思っていますので、その点を強みにしていくことが、未来の日本にとって最先端でありモデルとなりうるのではないかと思っています。

高知県内であれば、東洋町・室戸市、大月町・土佐清水市、山間部であれば仁淀川町、四万十町、梼原村、嶺北地域などに可能性を感じます。

西村 東洋町役場の人に話を聞きました。「現在はまちづくりのグループもないようです。東洋町にはいわゆるまちおこしグループが存在していない。つまり音頭をとる人がいない。
 JAや漁協も広域合併してしまい意思決定する本部が遠くなり地元の意向が反映されにくい組織になっている。」なにか方策はあるものでしょうか?

Hatikin01_2 (選挙のなかからまちづくりのリーダーは現れるはずです)

松田 この町を良くしようと志のある人は必ずいると思いますので、世代や業種を超えた出会いの場がまずは必要だと思います。そこで、お互いが思っていることを本音でぶつけあい、意思疎通をしないとネットワークというか同士の集まりであるグループはできません。

音頭を取る人は、これまでいなかったということですが、今は、町のリーダーである町長がいると思います。おっしゃる通り、JAや漁協も広域合併して、組織としては東洋町のまちづくりをけん引する存在ではなくなってきたと思いますので、今こそ、世代や業種を超えたネットワークが必要になってきたと思います。

西村 東洋町の名物の1つにこけら寿司があります。こけら寿司もイベントの時はなんとかつくれるようですが、毎日つくるとなるとなかなか難しいとも聞きました。商品化するための従来とは異なる方策はあるのでしょうか?

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松田 たしか、こけら寿司は冷凍して保存性を高めていると聞きました。おそらく、無添加で安全おいしい郷土のお寿司ですので、冷凍や保存パックの技術を高めれば、町外だけでなく、県外出荷も可能だと思います。

飾りつけも可愛く野菜中心でヘルシーなイメージがあるので、女性をターゲットに首都圏のお弁当屋さんと提携して、丸の内のオフィス向けに宅配できないでしょうか。高知市内では冷凍とか保存パックしなくても売れるのではないかと思いますね。

Kokerasushi_r (こけら寿司は見た目も美味しそうですしヘルシー)

西村 東洋町では町民で音頭をとる人が今まで少なかったと聞いています。リーダーづくりも必要です。アンテナショップの話は姉妹都市の大阪府守口市(東洋町の出身者が多い市)からも来ていますが現状では体制が取れていないようです。

松田  独自の店舗を単独市町村で運営することはとてもコストがかかるし、リスクもあるのでやめた方がいいと思います。むしろ、無店舗型で姉妹都市の商店街と提携して、干物やこけら寿司を売ってもらったり、まずは町出身や県内で東洋町を応援しようとする人たちに宅配で物産を送ったりした方がいいと思います

それを誰がやるかという話になると、地域の人材情報がないのでよくわかりませんが、そういったことを使命として働いている人は、役場の産業担当であったり、商工会の経営指導員であったり、何人かはいると思います。

Inoueyasai_r_3 (松田高政さんの実験店舗。高知の有機野菜やからだにやさしい産物が並んでいます。)

西村 松田さんがこのような東洋町をどうすれば明るく豊かな町にできるのでしょうか・アイデアなどがあればご披露ください。

松田 やはり、一度、住民が中心となって、私たちのようなおせっかい者も受け入れながら、地域のあるもの探しをしてみてはどうかと思います。
実際に地域を歩いていろんなものを見たり、地元の人の話を聞くと、発見や感動が生まれます。その発見や感動から湧き上がるアイディアが本当に地に足が付いている現実的な方策になると思います。

また、地域の暮らしや自然をあらためて見つめなおすことで、何が豊かなのか、経済だけではなく、自給的なこととか、助け合いの関係が残っているとか、知り合いや友達が多いとか、別の価値観にも気づくはずです。それを踏まえた上で、生活に必要な最低限の収入をどう稼ぐか考えると、そんなに大儲けするような話にはならないと思います。

Ainamws1_3 (地域のあるもの探し歩きとワークショップも東洋町でも必要です。)

今後の東洋町の方向性として、個人的に思うことは、先日の選挙で、国の交付金には頼らない、国の原子力政策にはノーという選択をされたわけですから、自然や健康にやさしいまちづくり。農業であれば有機農業の推進。観光であればエコツーリズム。ごみの分別の徹底や自然エネルギー。リサイクルの推進など。徹底して環境に配慮した取り組みを行えば、それぞれがつながって相乗効果があらわれてくるのではないかと思います。

高齢化が著しいということなので、お年寄りでもできること、お金がなければ、なくてもできることなど、今あるものや条件で考えてもやれることはいくらでもあります。

大事なのは、「お金をかけずに手間暇かけて、使えるものはなんでも使うといった貪欲さ・もったいない精神」で、いろんな物や人を組み合わせてもらいたいと思います。

危機の後にはチャンスが必ずありますので、今をチャンスだと思っていろんな人の手を借りながら、新町長を先頭に新たなまちづくりに挑んでほしいと思います。
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2007年7月15日 (日)

高知まるごと百貨店構想 その2 7月20日(金)

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
 現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「高知まるごと百貨店構想 その2」についてお話を聞きます。
 高知まるごと百貨店ですが、「高知の豊かな暮らしを創る地場産品専門店」であることです。「高知県内にあるおいしいもの、いいものを取り揃える。農産物、海産物、加工品、お惣菜、飲料・地酒、工芸品・雑貨等」とありますが、具体的にはどのような品物になるのでしょうか?

Matuda1m_2 松田  将来的には、食べものだけでなく生活雑貨や日用品などバリエーションを増やして、高知県産品だけで、デパートのような品ぞろえを目指していきたいと思っています。初めからは無理なので、まずは毎日必要な野菜・パン・米を中心に、基本の調味料、飲料ではお茶、雑貨では木工品などからスタートしていきたいと思います。

西村 松田さんは 「有機・無添加、自然素材、手作り、田舎(郡部)の物を優先的に取り扱う(応援する)」と言われいます。スーパーや生協なども似たようなことを言ってはいますが、松田さんのまるごと高知百貨店はどこが違うのでしょうか?

松田 スーパーや生協の品ぞろえをみると、いろんなニーズに対応しなければならないので、高知県産品だけとか、商品はほとんどが無添加というわけにはいきません。多くのお客さんを相手にしていますので、高知県産品で無添加の物の割合は低いのが現状です。

私の店は、基本は高知県産で優先順位を「有機・無添加、自然素材、手作り、田舎(郡部)の物」としていますので、県内に同じものがあれば、できる限りそっちを選択します。その結果、100%絶対とは言い切れませんが、野菜は無農薬・無化学肥料、加工品であれば無添加、生活雑貨であれば自然素材でできたものが多くなっていると思います。

この比率を高めることで、消費者にとっては健康的で、生産者にとってはこだわりが持てる、自然環境にとっては負荷が少ないといった、高知県社会にとって理想的な状態を目指していきたいと思います。

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西村 松田さんは「生産者・商業者・消費者が協力する地場産品専門店」を理念にされています。従来の流通システムとの違いはどのようなところにありますか?お金の流通以外の要素が必要であるのではないのでしょうか?

松田 従来の流通システムは生産者はいかに都会へ売り出すか、消費者は都会と同じような商品をいかに県内で買えるか、価値観や方向性が都会に向いていました。そのため、生産者・商業者・消費者が高知県産品を地元で応援しようといった動きはつい最近まではありませんでした。

最近になって、農産物を中心に直販店が出てきて地産池消の動きが活発になり、従来の都会優先の流通システムを変えようといった気運が出てきています。その気運を背景に、農産物だけでなく、生活に必要なすべてのものを対象に、県内でこだわっているものを地元の消費者が支持する小さな経済循環をつくり、それを土台にして県内で消費しきれないものを県外のマーケットに供給して外貨を稼ぐ。流通の主体性は地方に権限がある「物の地方分権」を目指しています。

そのための出発点が地場産品専門店で、このお店を軌道に乗せるためには、お互いが協力し支援しあう関係がなくてはできません。それには信頼関係がもっとも大切で、直接交流しあう機会をお店がつくることで、心を通わせる要素が絶対に必要だと思います。
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西村 松田さんは「この地場産品の販売拠点には、消費者と生産者とが交流できるよう、ものの良さを伝える手段や機会を十分につくり、消費者がその良さを実感した上で、買い物という投票にも似た行動によって、次世代に高知のいいもの・ものづくり文化を残していこうと思います。」といわれています。

松田 買物は投票と一緒で、支援者が少ないとその商品は競争に負けて潰れていってしまいます。だから、販売は選挙運動と一緒で、いかにその商品の良さや作り手の思いを伝えるか。そして、買い物の時に一票という形で選んでもらえるかが勝負だと思っています。

ですので、自分のお店は県内のいろんな候補者が集まる選挙事務局のようなもので、待っているだけじゃなく、イベントや出張販売、宅配やインターネットを通じた通信販売なども選挙運動としては、次のステップとして展開しなければと思います。

西村 信頼できる生産者とのネットワークが大事であると思います。また商品を購入いただく消費者も固定客が必要です。そのあたりの経済システムはどのようになっているのでしょうか?

松田 まずは、高知市内のお店で、小規模なネットワークと高知市内を中心とした固定客の獲得に全力投球をして、お店の経営を黒字化することが、新しいビジネスモデルを作る意味でも重要です。ですので、初めは設備投資もランニングコストも極力抑えて、地元の人に支持される商品構成で勝負したいと思います。

ただし、中には高知市内だけでは顧客獲得が難しいこだわりの商品もあるので、その点についてはインターネットでの販売も併用して考えていきたいと思います。経済規模から言えば売上のほとんどはお店で、補完的に若干、ネット販売の売り上げを期待しているのみです。

西村 取扱い品目は食品や加工品が中心なのでしょうか?いわゆる「産直ショップ」とはどのような違いがあるのでしょうか?

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松田  取扱い品目はやはり食品や加工品が中心です。いわゆる「産直ショップ」と違うのは、農協や行政(地域枠)といったしがらみがなく、高知県内の物の中から独自の価値観で商品をチョイスできるという強みを持っています。でもこれは生産者の協力がなくてはなりませんので、選んだからにはそれを絶対売ってみせるというプレッシャーもあるわけで、売れないからやめるとか、一般的に売れる商品だけ扱うということはありません。

高知県のこだわりを見せるという意味では、無農薬や無添加といった、人よりも難しいことにチャレンジしているものを優先して扱います。無農薬や無添加というと自然食品の店のようになってしまいがちですが、そんなにがちがちにはするつもりはありません。人はおいしいものを食べたいという純粋な欲求によって行動しますので、まずはおいしいものを探して、それが結果的に、無農薬や無添加だったという結論になると思います。

また、無農薬や無添加など一般的にいいものと言われるものでも必ず売れるというわけでもありませんので、売れない場合は何で売れないのか、消費者のニーズや評価を分析し、売れるためのコンサルティングも必要となってきます。この点は長年、高知県のアンテナショップでニーズ調査や改善案の提案をしてきましたので、ただ物を売るだけのショップとは違う点だと思います。
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2007年7月 8日 (日)

あるもの探し・あるもの磨きによる地域(まち)づくり

7月6日の記事が入れ替わっていました。

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
 現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「あるもの探し・あるもの磨きによる地域(まち)づくり」です。

 以前にもお聞きしたかもしれませんが、「あるもの探し」とはどういうことなのでしょうか?過疎高齢化、経済の低迷が続きますと「ないものねだり」ばかりするようになるのですが・・・

Matuda1m_1 松田 あるもの探しというのは、活力ある地域づくりのために、地域を調べる手法のことで、基本的には、地元の人が主体となって、地域外の人の視点や助言を得ながら、普段の暮らしのなかにある当たり前にあるものを学びます。

 この当たり前にあるものとは、3つの意味合いがあって、まず「ここにしかないもの」、そして、「どこにでもあるもの」、最後に、「困っているもの・余っているもの・捨てているものなど地域のマイナス面」なども調べます。

よく地域資源調査とか宝探しとかと同じにされますが、根本的に違う部分があって、資源や宝というのはすでに調べる前からそのようなフィルターを無意識にかけて地域を見てしまいます。あるもの探しは地域にあるものすべてを対象としていますので、その辺に生えている草や何気ない風景も地域にあるものとして理由やそこにある意味をよく理解しようとして見ます。

ですので、どんなに過疎化・高齢化が進んでいたり、経済が低迷していたとしても、何もないといわれる地域は絶対にないということですし、地域にあるものを活用することで、どんなとこでも必ずお金がかからず地元の人たちですぐにでもできることはいくらでもあるということなのです。

それを頭の中で理解するのではなくて、実際に地域を歩いて見聞きし、体で感じることで地域づくりのアイディアが自然とでてきます。

Ws01_1 (まち歩きをしてから参加者でワークショップをします。)

西村 松田さんは「あるもの探しとは「地元に学ぶ地元学の調査手法」で、地元を調べる第一歩の作業です具体的な事例があればご紹介いただけませんでしょうか?

松田  地域にある食べ物を活かして観光で成功した例は、佐賀町のカツオのたたきづくり体験です。平成12年に県の事業の一環ではじめてお客さんを呼んでやりましたが、一番最初は、この町には新鮮なカツオがあるが、食べる場所がないということで、場所は漁港の広場。食器や道具なども各自家からの持ち寄りで、水道もないのでポリタンクに水を入れて運びいれて手を洗ったりしました。

いままで何もなかった漁港が、地元の人の熱意と地域にあるものを集めることで、なんでもできるということがよくわかりました。
 いまでは年間何千人もの修学旅行生や観光客が訪れ、幡多地域の観光にはなくてはならない存在になっています。

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西村 高知の地方の地域では情報通信分野でも遅れをとっています。光回線は高知市周辺です。ADSLも県全体を見ますと全域には普及していません。情報化の恩恵を受けていない地域については何か方策はあるのでしょうか?

松田 たしかに、今の時代にネットの環境が整っていないというのは不便ですし、不利な面はありますが、それ以前に「地域の情報を自分たちで発信しているか、また、地域外の情報を本気で取りにいっているか」疑問があります。

これまで、HPやブログなどを通じて積極的に情報を発信していて、次は映像や音を発信したいというレベルにまでいっているのであれば何らか回線を引っ張る方法を考えなければなりませんが、それ以前にネットを使っている人の割合やその度合いも低いのであれば、生活やビジネスで欠かせないツールになるよう使い方の講習など普及・啓発が先だと思います。

私の村はほとんどの人がインターネットを使っていて、今の回線の環境では不便で仕方がないという人が多数を占めているという声を上げれば、行政やNTTもきっと動いてくれるはずです。そのためにはすそ野を広げ、住民の要望として下からの突き上げがやっぱり必要だと思います。

西村 松田さんはあるもの探しの活動のなかで「地元に学び地元を楽しむ人づくりへ」と言うことを提唱されています。この手法はどの地域でも活用できますか?実際に松田さんが行いました手法で実行された事例があればご紹介下さい。

松田 やっぱり、元気な地域には、地元が好きで前向きに暮らしを楽しんでいる人が多いです。ですので、地域のあるもの探しをするときは、マイナス面ばかりに目を向けるのではなくて、地域の良い面を探して自分の住んでいるところを好きになってくださいといつも言っています。

 まあ、自分が言わなくても、あるもの探しをすることを通じて、普段話をしない人と触れ合ったり、思わぬ発見もあったりして、気持ちも後ろ向きだった人も前向きになります。

最近の事例では、地域づくりの研修に呼ばれて、香美市土佐山田町にある平山地区を地元の住民と行政職員と一緒になって調べましたが、はじめは地元の人の多くが、過疎化高齢化を理由にとても後ろ向きで、廃校となった小学校の活用についいても消極的でした。

でも、いろんな人が地域を訪れ、おじいちゃん・おばあちゃんがつくっているものを評価してくれたり、実際に小学校を使って研修生を宿泊させ、料理も提供するなどしたら、すっかり自信をつけたみたいで、さっそくその年に必要最小限の改修を済ませ、先日宿泊施設として運営をスタートしました。

いくらその土地に活用できるものがあっても、人の気持ちが後ろ向きであれば、ちっとも前に進みません。ですので、地元を調べることでその土地を好きになり、そこで自分たちの暮らしをどう楽しむのか考えることを通じて、前向きに行動してみようとするきっかけになればと思って活動しています。

西村 地域へ入られる場合反発などはありましたか?「おれたちは地域のことは知り尽くしている。よそ者に何が分かる」とかは言われませんでしたか?

松田 60歳以上はそんな声はちらほら聞こえましたが、50歳代から下になると意外と地元のことは詳しいと言い切れない人がほとんどですね。世代間のコミュニケーションがとれていない証拠です。
ですから、ほとんどの人は意外と地域のことを知らないと、この際だから改めて地域のことを知ろうと意欲を持ってのぞんでくれます。

西村「お金もない」「リーダーもいない」「若い人もいない」「やる気もない」地域が実際の話多いのではないのでしょうか?コンサルタントや行政やNPOの自己満足ではなくて松田さんが考える地域おこしの成功とはどのようなイメージなのでしょうか?

松田「お金もない」「リーダーもいない」「若い人もいない」というのは、山間部に行くと大半ですが、たまに「やる気もない」状態で依頼をしてくる地域もあります。その時は、難しい反面とってもやりがいがある仕事として燃えますね。
ほとんどの場合は地元に熱意があって、それをどう進めるかノウハウがないだけですが、熱意がないとなると困難さは格段にアップします。その時は人の気持ちを変えることに力点を置きますので、やりがいはひとしおです。

2年前に依頼を受けた佐賀町の北部地域はまさにその典型でした。役場の人から、ハード整備しか望んでいない地域なので、ソフト事業は難しい地域ですと。
この地域の人の意識が変われば、他の地域にも口コミで宣伝しますと役場に言われて燃えました。

結果的にその地域の意識は変わり、2カ月に1回の頻度で地域のイベントを行うようになりました。活動としては地味ですが、人の意識や地域としての取り組みが前向きになるという結果はやっていてうれしい限りでです。

Kannoura7 (東洋町甲浦)

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2007年7月 1日 (日)

高知まるごと百貨店構想について その1  7月3日(金)

西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
Gaxtukoukanban  現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
 今回のテーマは「高知まるごと百貨店構想について その1」についてお話を伺います。

松田さんは高知を取り巻く経済の状況に危機感を感じ、「高知まるごと百貨店」を構想されたように聞きました。全国でも不況地区で好景気である地域との格差がますます拡大されているようです。
 高知まるごと百貨店の狙いはどのあたりにありますか?

Matuda1m 松田 高知の街中を歩いていて、シャッターが閉まったままのお店が増えていたり、大きな百貨店やスーパーが街から消えていったりする中で、街にだんだん魅力がなくなっている。その一方で、県外資本のショッピングセンターが郊外にできて、お客さんは県外資本のお店や商品を選択している状況を見ていて、このままでは、高知の商業も製造業も県外のものにおされてダメになってしまうと思いました。

高知の商業を魅力あるものにするためには、新しい魅力ある商品やお店を持ってこなければならない。製造業は地元にその商品を応援してくれる販売拠点を持たなければならない。

だったら、高知の商業・製造業を一度に活性化させるために、高知の地場産品で魅力あるものを集めたお店を街中につくろうと思い、数年前から商店街のイベントなどで自分のお勧め商品を販売しながら準備をしてきました。

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西村「地産地消」という考え方が行政を中心に唱えられています。松田さんはどのように考え行動されるのでしょうか?スローフードとは関係あるのでしょうか?

松田 地産地消という考えは、地元で生産されたものをできる限り地元で消費しようという運動で、食育の推進や食糧自給率を上げるためにも大切な考え方です。私はそれを基本にもう少し生産品のレベルアップを図るために、言葉は似ていますが「地消地産」という逆の発想が必要なのではと考えています。この意味は、「地元で消費したいものを地元でつくる」という消費者側の視点でのものづくりの運動です。

地元でできたものは何でも消費するのではなくて、「本当に買いたいものをできる限り買える適正な価格帯で提供するため」に、地元の消費者がモニターになって商品を評価し、改善の余地があればそれを生産者にフィードバックしてさらに磨きをかける。自分がこれから展開しようとするお店は、高知県産品のマーケティング・商品開発の拠点としての役割も担おうと思っています。

スローフードについては、物は少ないが作ったものは適切に売ってその利益で毎年生産してもらわなければならないので、種の保存が危ぶまれている土佐赤牛や在来種の野菜・穀物などは売っていかなければと思っています。

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西村 松田さんは「地方で生きる者の豊かさの「ものさし」は、物があふれている時代の中で、近くにしっかりとしたものをつくってくれる環境こそが豊かであると考えます。」と言われています。
 高知は農業県であると言われていますが、食料自給率は高くはありません。また高知県民自身が高知の農産物を好んで食べていないようにも思えるのですが?

松田  高知県の食糧自給率は確か50%を切っていたように思いますが、その理由として、園芸作物を中心に県外に安定供給するといった役割を日本の中でも担っていたと思います。そのため、いい商品はいったん県外の市場に運ばれ、それが県内に出回らない、出たとしてもそれはわざわざ県外市場から時間と費用をかけて戻ってきたという笑い話になる状態が現実にまだあります。

また、ナスやピーマン、トマトなど高知県の基幹作物は地元でもたくさんあり通年食べられますが、少量多品種型の農業生産ではないため、基幹作物以外は、物がなかったり、ごく限られた季節にしかないといった状況が起こります。

いろんなものをまんべんなく作れば県外や外国産の食糧に頼る比率が低くなるのですが、高知県の長年の戦略として、ごく限られた基幹作物の安定供給を進めてきましたので、多くの農産物は他県に頼らざるを得ない状況となっています。
ですので、地元で必要なもの、食べたいものを地元でつくるという「地消地産」の運動が食糧自給率向上に必要なことだと思います。

Tenpohanbai (JASS認定の有機無農薬野菜も松田さんの店舗で販売されています。)

西村 高知県は日本で有数の有機農法の生産県であると言われてきました。しかし県内消費は少なく、殆どが大都市の消費者グループに販売されています。この現実はどうすれば良いと思われますか?

松田 確かに、高知県内でつくられている有機農産物は宅配を中心に大阪や東京の消費者が多く購入しています。安全でおいしいものは値段も割高なので、お客さんも有機野菜に関心のある人か、食材にお金をかけることが負担とならない比較的高所得者となると、高知県内にはターゲットが少ないのが現実だと思います。

ただ、私が生まれる昭和30年代までは、農薬も化学肥料もまだなく、高知県内当たり前に有機農産物しか食べていなかったことを考えると、本当に安全でおいしい野菜の味を知っている人はだんだん少なくなっているので、地元の人にこそその味を知ってもらい、多少割高でも買いたいと思わすようなきっかけづくりが必要だと思います。

有機農産物の県内消費量の拡大についても、まずは少量から固定のリピーターを増やすよう、自分のお店がその役割を担っていこうと思っています。

Tennenshio (天然塩も販売されています。)
西村 地域では良いものがあったとしても生産量が少なく、供給が多く出来ません。そのあたりをどうすれば良いのでしょうか?

松田 スーパーでは、品切れはクレームの対象となるので、生産量が少なく安定的に供給できないものは取り扱えません。私の店は、本当にいいものを少量でも扱い、品切れになればその理由をお客さんに理解してもらう努力をしようと思っています。

 その点は、お客様の都合が絶対ではなく、生産者の立場や都合も相互理解で克服できるのではないかと思っています。それができるのはやはり地元の小規模店の強みだと思っています。

もし、人気が出て、今の生産体制では不十分だとなれば、意欲のある生産者であれば人を雇いもう少し生産量を増やそうといった動きになると思います。最終的に、そういった雇用創出や担い手・跡継ぎができるようにヒット商品を増やしていきたいと思います。

西村 松田さんは「高知市内のスーパーや土産店では売っていない(競合しない)商品(食品だけでなく工芸品も)を高知市及び郡部から取りそろえ、地域の生活者に販売することで、このお店を通じて、高知の物産や物の豊かさを実感してもらいたいと考えています。」と言われています。
 品物の仕入れや、販売方法は大変であると思われますが、おかまいない範囲でお話下さい。

松田 商品の仕入れは、基本的に自分でまずは味を確かめ、これがいいと思ったら生産者に直接会いに行って、意見交換をします。そこで、商品の魅力だけでなく、生産者の人柄や意欲・基本的な価値観なども把握します。

商品の販売は作り手の思いをいかに伝えるかということがすごく大切になってきますので、売る時も生産者と会って話を聞いたことを自分なりに噛み砕いて、わかりやすく伝えるように心がけようと思います。ただ、100%作り手の思いを伝えることは代役では無理ですので、たまには生産者も店頭に立って直接お客さんと交流してもらえたらと思います。
Matuda1_thumb (7月1日はおびさんマルシェにこうち暮らしの樂校も出店されます。)

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