東洋町を元気にする方策は?
西村 今月のゲストは、このたび旭のマル二敷地内で高知の特産品を販売する店舗を開設された松田高政さんです。松田さんには以前「けんちゃんのどこでもコミュニティ」時代に出演いただきました。当時は地域コンサルタントで各地域の「あるもの探し」をされ、地域を元気にされる活動をされておられました。
現在の松田さんは地域コンサルタント時代に培かられた能力を活かし、店舗販売などを展開されながら高知を元気にされようとしています。こうち暮らしの楽校ブログも開設されています。
今回のテーマは「東洋町を元気にする方策は?」でお話をお聞きします。
東洋町は高知市から車で約3時間かかります。白浜海岸や生見ビーチは有名でもひんぱんに行く人は高知市内の人でもあまりいないのではないでしょうか?
松田さんはもしかしたら都市部の人が高知県をイメージしていることもそうではないかと言われていますが。
松田 東洋町は高知県の東の端の町で、ちょうど私の出身地である大月町も西の端で、置かれている状況が似ています。地理的に遠いということで、行ったこともない人が多く、情報も地域が積極的に発信しなければ、町の存在すら知らない人も多くなると思います。
以前、高知県の観光の活性化で、大阪の人にグループでインタビューしましたが、高知県の印象で一番ショックだったのは「何もなさそう」とか「おいしいものがなさそう」とか平然と言われたことです。
その人いわく、日常、いろんな媒体で地方の情報が入ってくるが、高知県の情報はほとんど入ってこないので、イメージすらできない。この状況が高知県内の中でも起きているということを最近あらためて意識しています。
西村 松田さんは「これまで陸の孤島と言われ、多くの人から見捨てられていた東洋町のまちづくりを考えることは、未来の高知県の進むべきモデルとなると思います。」と言われています。東洋町以外にも高知では同様の地域が多いと思われますがいかがでしょうか?
松田 地理的条件が不利な所は、どんな地域で、現状ではなにがあって、それをどう活用し、個性のあるまちづくりができるのか。私はこれまで経済発展が遅れた地域にこそ、人が生きていく上で必要な自然や人間関係、文化が色濃く残っていると思っていますので、その点を強みにしていくことが、未来の日本にとって最先端でありモデルとなりうるのではないかと思っています。
高知県内であれば、東洋町・室戸市、大月町・土佐清水市、山間部であれば仁淀川町、四万十町、梼原村、嶺北地域などに可能性を感じます。
西村 東洋町役場の人に話を聞きました。「現在はまちづくりのグループもないようです。東洋町にはいわゆるまちおこしグループが存在していない。つまり音頭をとる人がいない。
JAや漁協も広域合併してしまい意思決定する本部が遠くなり地元の意向が反映されにくい組織になっている。」なにか方策はあるものでしょうか?
松田 この町を良くしようと志のある人は必ずいると思いますので、世代や業種を超えた出会いの場がまずは必要だと思います。そこで、お互いが思っていることを本音でぶつけあい、意思疎通をしないとネットワークというか同士の集まりであるグループはできません。
音頭を取る人は、これまでいなかったということですが、今は、町のリーダーである町長がいると思います。おっしゃる通り、JAや漁協も広域合併して、組織としては東洋町のまちづくりをけん引する存在ではなくなってきたと思いますので、今こそ、世代や業種を超えたネットワークが必要になってきたと思います。
西村 東洋町の名物の1つにこけら寿司があります。こけら寿司もイベントの時はなんとかつくれるようですが、毎日つくるとなるとなかなか難しいとも聞きました。商品化するための従来とは異なる方策はあるのでしょうか?
松田 たしか、こけら寿司は冷凍して保存性を高めていると聞きました。おそらく、無添加で安全おいしい郷土のお寿司ですので、冷凍や保存パックの技術を高めれば、町外だけでなく、県外出荷も可能だと思います。
飾りつけも可愛く野菜中心でヘルシーなイメージがあるので、女性をターゲットに首都圏のお弁当屋さんと提携して、丸の内のオフィス向けに宅配できないでしょうか。高知市内では冷凍とか保存パックしなくても売れるのではないかと思いますね。
西村 東洋町では町民で音頭をとる人が今まで少なかったと聞いています。リーダーづくりも必要です。アンテナショップの話は姉妹都市の大阪府守口市(東洋町の出身者が多い市)からも来ていますが現状では体制が取れていないようです。
松田 独自の店舗を単独市町村で運営することはとてもコストがかかるし、リスクもあるのでやめた方がいいと思います。むしろ、無店舗型で姉妹都市の商店街と提携して、干物やこけら寿司を売ってもらったり、まずは町出身や県内で東洋町を応援しようとする人たちに宅配で物産を送ったりした方がいいと思います
。
それを誰がやるかという話になると、地域の人材情報がないのでよくわかりませんが、そういったことを使命として働いている人は、役場の産業担当であったり、商工会の経営指導員であったり、何人かはいると思います。
(松田高政さんの実験店舗。高知の有機野菜やからだにやさしい産物が並んでいます。)
西村 松田さんがこのような東洋町をどうすれば明るく豊かな町にできるのでしょうか・アイデアなどがあればご披露ください。
松田 やはり、一度、住民が中心となって、私たちのようなおせっかい者も受け入れながら、地域のあるもの探しをしてみてはどうかと思います。
実際に地域を歩いていろんなものを見たり、地元の人の話を聞くと、発見や感動が生まれます。その発見や感動から湧き上がるアイディアが本当に地に足が付いている現実的な方策になると思います。
また、地域の暮らしや自然をあらためて見つめなおすことで、何が豊かなのか、経済だけではなく、自給的なこととか、助け合いの関係が残っているとか、知り合いや友達が多いとか、別の価値観にも気づくはずです。それを踏まえた上で、生活に必要な最低限の収入をどう稼ぐか考えると、そんなに大儲けするような話にはならないと思います。
(地域のあるもの探し歩きとワークショップも東洋町でも必要です。)
今後の東洋町の方向性として、個人的に思うことは、先日の選挙で、国の交付金には頼らない、国の原子力政策にはノーという選択をされたわけですから、自然や健康にやさしいまちづくり。農業であれば有機農業の推進。観光であればエコツーリズム。ごみの分別の徹底や自然エネルギー。リサイクルの推進など。徹底して環境に配慮した取り組みを行えば、それぞれがつながって相乗効果があらわれてくるのではないかと思います。
高齢化が著しいということなので、お年寄りでもできること、お金がなければ、なくてもできることなど、今あるものや条件で考えてもやれることはいくらでもあります。
大事なのは、「お金をかけずに手間暇かけて、使えるものはなんでも使うといった貪欲さ・もったいない精神」で、いろんな物や人を組み合わせてもらいたいと思います。
危機の後にはチャンスが必ずありますので、今をチャンスだと思っていろんな人の手を借りながら、新町長を先頭に新たなまちづくりに挑んでほしいと思います。
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